William O’Neil氏の成長株発掘法④: CAN-SLIM法の「N」

お金

今回はWilliam O’Neil氏の成長株発掘法シリーズの第4回目となります。

前回までの記事を見逃した方は是非下記のリンクからご一読ください。

William O’Neil氏の投資手法の詳細については是非実際に書籍を購入してしっかりと咀嚼していただければと思います。

CAN-SLIMの「N」: Newer Companies, New Products, New Management, New High

CAN-SLIMの「N」は、Newer Companies, New Products, New Management, New Highs Off Properly Formed Bases、つまり、新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けての新高値を意味します。

株価が大きく上昇するには、何らかの新しい要素が必要であり、これは大ヒットとなり収益増加率を急激に伸ばす新製品や新サービス、新しいアイデア、または経営陣の刷新などが挙げられます。

業界における需要の拡大、価格上昇、技術の革新なども同様に株価に良い影響を与える可能性があります。

1880年から2008年の大化け銘柄に関する研究によれば、アメリカで成功した銘柄の95%以上が何らかの変化を経験しています。

歴史的には、鉄道、電気、電話、カメラなどの新産業や製品、またエジソンの発明などが株価の急騰に寄与してきました。

その後も自動車、飛行機、そしてラジオと続々と新製品が生まれ、氷を箱に入れて冷やすアイスボックスは冷蔵庫に取って代わられました。

さらに、テレビ、コンピューター、ジェット機、家庭用パソコン、ファクス機、インターネット、携帯電話と新しい製品や企業が生まれることで経済成長が促進され、多くの新規雇用が生まれ、国民の生活水準が向上する一因となっています。

正しいタイミングで買う

新高値を付けたからといって銘柄が正しい買いのタイミングであるとは限らず、銘柄選択においてはチャートの利用が非常に重要です。

過去の値動きを詳細に研究し、正しく形成された基本パターンからのブレイクアウトを見つけることが重要です。

株価パターンからのブレイクアウトは、大きな上昇が始まる可能性が高く、通常は7~8週間から長い場合で15カ月ほどのベース形成期間があります。

買いの絶好のタイミングは、強気相場で株価がベースから上にブレイクアウトし始めたときであり、ベースを上にブレイクアウトしてからすぐの時点での購入が望ましいです。

ベースからのブレイクアウト後に株価が既に5%~10%上昇してしまうと、買うのは遅すぎる可能性があります。

株式の供給量による違い

銘柄の発行済み株式数が多い場合、株価が上昇するのは需要が十分にあるときであり、それには多くの買いが必要です。

一方で、発行済み株式数が比較的少ない場合、需要がある程度あれば株価を押し上げやすいですが、流動性の不足から急激な変動が生じる可能性があり、リスクが高まります。

発行済み株式数だけでなく、浮動株(市場に流通している株のうち、経営陣などが保有していない株の数)も注視され、経営陣が株を保有している割合が多い場合は企業の株価上昇に対する努力が期待され、良い買い候補と見なされます。

多くの発行済み株式を持つ企業は、組織が古く、成長の速度が鈍化しており、大きくなりすぎて動きが鈍る傾向があるとされています。

管理人ではなく起業家精神に富む経営陣を選ぶ

大企業の規模が増大すると、権力や影響力が増す一方で、想像力の低下や生産性の非効率を引き起こす可能性があります。

多くの大企業は保守的で革新的な決断を避ける傾向があり、経営陣が自社株を大量に保有していないことも一因です。

これは大きな欠陥であり、大企業はこの問題に対処すべきです。

大企業の経営陣や社員が自社の成功に対して十分な関心を寄せていない場合、投資家にとっては不利な要素となります。

大企業の組織が複雑で、経営陣が顧客との距離を置いている場合もあります。

競争が激しい資本主義経済では、究極の上司は顧客であるべきだと指摘されています。

情報の伝達手段の変化が加速している中で、新しい中小企業が革新的でハングリーな精神を持って新製品やサービスを提供し、急速な成長を遂げています。

アメリカの将来の大成長は、このような中小企業から生まれる可能性があります。

公開市場で自社株買いをしている企業を探す

自社株を公開市場で長期間かけて継続的に買い戻す企業は、通常見込みのある企業であり、特にCAN-SLIMの基準を満たしている成長中の中小企業にとっては重要です。

自社株の買い戻しは、流通する株式数を減らすだけでなく、企業が将来の売上や収益の改善を見込んでいることを示唆しています。

流通する株式数の減少により、企業の純利益は減った株式数で分け合われ、一株当たりの収益(EPS)が増加します。

総資本に対する負債比率の低い企業が望ましい

銘柄を選ぶ際に、企業の総資本の中で長期負債や社債がどのくらいの割合を占めているかを確認することは重要です。

通常、負債の比率が低いほど、企業は安全で優れていると見なされます。

金利が上昇したり経済が不景気になると、負債率が高い企業は収益に大きな影響を受ける可能性があります。

高い負債率の企業は一般に、低品質でハイリスクとみなされることがあります。

1995年から2007年まで、金融機関や住宅ローン関連の企業で見られたような、40倍から50倍の過剰なレバレッジを用いる例がありました。

これらの企業は、政府の後押しにより、低所得者向けのサブプライムローンに巨額の投資を行い、最終的には2008年の金融危機を引き起こす要因となりました。

投資家や住宅購入者にとって重要なルールは、返済できない額を借りないことです。

過剰な債務は、個人、企業、政府にとっても例外なく打撃を与える可能性があります。

最近数年間で負債率が減少している企業は、少なくとも利息支払いが削減されるため、EPSが増加する可能性があるため、検討の余地があります。

また、資本構成における転換社債の有無も注目すべきです。

これらの社債が一般株に転換されると、収益の希薄化につながる可能性があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました