皆さん、退職した後の生活設計プランはしっかりとできていますか?
日本では老後2,000万円問題が一時世間を騒然とさせましたが、一方、最近ではFIRE (Financial Independence, Retire Early)なる早期退職プランニングが話題になっています。
「顧客第一主義」を貫くアメリカの証券会社Fidelityの発表によりますと、一般的な退職を想定する場合には年収の10倍を67歳までに確保することを推奨しています。
また、年代別には30歳の時点までには少なくとも年収と同じ金額、40歳までに年収の3倍以上、50歳までに年収の6倍以上、60歳までに年収の8倍以上を貯めておくことを推奨しています。
ただし、実際問題、上記の金額を各年齢までに貯められている方の割合は非常に少ないことが現状のようです。
今回はアメリカでの生活が長い方も、これからアメリカで生活を始める方も気になる、アメリカの年金制度と節税方法について紹介させていただきます。
アメリカの年金制度
日本でも年金制度は複雑なものになっていますが、アメリカでは公的な年金や私的な年金も含めると実感として更に複雑なものとなっています。
本項ではそんなアメリカの複雑な年金制度を一つづつ紹介させていただきます。
公的年金制度
まず最初に紹介させていただくのはアメリカの公的年金制度であるソーシャルセキュリティーです。
ソーシャルセキュリティーは米国連邦政府が管理、提供する公的年金制度のことで、日本でいうところの厚生年金にあたります。
ソーシャルセキュリティーは社会保障とも訳されることがあり、平均的な家庭の退職後の生活費の40%をカバーすることを想定して作られています。
ソーシャルセキュリティーの保険料は、社会保障料としてIRS(Internal Revenue Service、日本で言う国税庁)が徴収し、給付はSSA(Social Security Administration、日本で言う日本年金機構)が行います。
アメリカで雇用されている間は、社会保障料として給与の6.2%が源泉徴収され、雇用する企業側もその同額を拠出して税金を納める必要があります。
拠出する際の給与の最高課税対象額は$142,800 (2021年時点)、つまり、個人としての納税金額では$8,854が年間の最大値となります。
ソーシャルセキュリティーを受給できるタイミングは62歳以降で、受給資格としてアメリカで「40クレジット分の労働」を提供していることが条件となります。
四半期ごとに社会保障の税金が一定金額以上を超すと1クレジット、年間で最高4クレジットまで手に入れることができます。
つまり、一般的に10年間働き続ければ受給資格が生じます。
アメリカでの労働が10年に満たない場合にはソーシャルセキュリティーの受給資格を満たしませんが、日米社会保障協定によって日本での年金加入期間もクレジットに加算されるようになりました。
なお、クレジットの数は受給するソーシャルセキュリティーの金額には影響せず、単に受給資格を判定するためだけに使用されます。
ソーシャルセキュリティーの金額を決めるのは、受給開始年齢やアメリカで働いていた時のあなたの平均収入になります。
1960年以降の生まれの方なら、67歳以降に受給を開始すると満額もらえます。
ソーシャルセキュリティーを受け取り始めるタイミングに関しては、受給開始年齢を62歳とすることもできますし、70歳まで先延ばしすることも可能になっております。
ただし、62歳に受給を開始した場合には、満額受給年齢に達してから受給した場合に比べ、受給できるソーシャルセキュリティーの金額が30%減額されてしまうことになります。
ソーシャルセキュリティーの金額を決定する平均収入になりますが、アメリカで働いた期間全てが対象となるわけではなく、最も高収入だった35年間で計算されることになります。
日本からアメリカへ移住した場合、アメリカの勤務年数が35年間に満たないケースもあると思いますが、その場合、収入の無かった時期はゼロとしてカウントされてしまい、受給額が減ってしまいます。
また、ソーシャルセキュリティーの受給額には上限があり、2021年では個人につき$3,113(70才まで受給開始を延長した場合の上限は$3,895)となります。
ソーシャルセキュリティーの種類
ソーシャルセキュリティーでもらえる年金は主に3種類あり、Retirement Benefits(老齢年金)、Survivors Benefits(遺族年金)、Disability Benefits(障害年金)となっています。
Retirement Benefits(老齢年金)
ソーシャルセキュリティーの代表的な年金がRetirement Benefits(老齢年金)となります。
ある一定の年になれば、退職しているか否かに関係なく申請後に月々自動的にお金が振り込まれるようになります。
先述したとおり一番早い申請で62歳から受給できますが、早く申請をすればするほど月々に支給される金額が少なくなります。
一方で、最大で70歳まで申請を先延ばしでき、先延ばしすればするほど月々に支給される金額が増えます。
下記のサイトでソーシャルセキュリティー受給額のシミュレーションができますので是非お試しください。
Social Security Quick Calculator
配偶者ベネフィット
老齢年金は既婚者に優しい制度となっており、配偶者は自身の収入が無かったり、自身の収入で計算された受給額が少ない場合でもパートナーの受給額の半額までをもらえる仕組みになっています。
例えば、あなたの受給額が$500でパートナーの受給額が$2,000だった場合、配偶者ベネフィットによってあなたの受給額を$1,000までアップできます。
もし離婚してパートナーと別れてしまった場合でも、結婚生活が10年間以上あればこの制度は適用されます。
この制度の良いところは、元パートナーに連絡せずに、SSAへ直接年金受給の申請を行えることです。
申請を行っても、元パートナーのソーシャルセキュリティーには何の履歴も残らず、影響もありません。
元パートナーが再婚している場合でも、再婚相手のソーシャルセキュリティーには影響はありません。
申請手続き
支給にあたって必要な申請手続きは以下の通りとなっております。
必要情報を入力していくと10~30分程度で手続きが完了します。
手続きが完了すると必要書類のリストが表示されますので、その書類をSSAに提出します。
もし情報が足りない等した場合には、SSAオフィスから連絡があります。
【主な必要情報】
- 基本情報:名前、ソーシャルセキュリティーナンバー、性別、生年月日
- 雇用情報:職業、自営業、軍事サービス、政府機関での仕事、職歴
- ベネフィットに関する質問:基礎年金を受給し始めたい日、既に受給している他のベネフィット、銀行口座情報
- その他アカウント作成情報:携帯電話、クレジットカード、Form W-2、確定申告書
電話で申請
- 電話番号: 1-800-772-1213 (耳の不自由な方は、1-800-325-0778)
窓口で申請
始めに1-800-772-1213に電話をして、窓口申請手続きのための予約を取ります。
予約日に最寄りのソーシャルセキュリティーオフィスへ行き、必要書類(原本、またはコピー)を提出します。
この書類は後に申請者へ返却されます。
手続きが完了したら、老齢年金が支給されます。
【主な必要書類】
- 出生証明書、またはそれに該当する他の証明(日本人の場合、戸籍謄(または抄)本)
- 米国市民の証明、または合法移民である証明(例:パスポート、グリーンカード)
- 昨年のForm W-2、またはSelf-Employment Tax Return
- 銀行口座に振込をご希望される方は、銀行の名前と口座番号(Account & Routing Numbers)
詳細はSSA Webサイトでご確認ください。
Survivors Benefits(遺族年金)
遺族年金は、亡くなった方が支給要件のクレジットを満たしていれば、その家族である配偶者、子、親のいずれかが受給できる仕組みになっています。
配偶者の場合、60歳から受給を開始できますが、満額受給年齢前に受給を開始する場合は受給額が減額されます。
また、配偶者が60歳までに再婚した場合には遺族年金を受け取る資格を喪失しますが、60歳以上で再婚した場合には元パートナーの生前の収入を基に遺族年金を受け取ることができます。
故人の子供も18歳以下、またはフルタイムで高校に通っている場合には19歳以下であれば、故人が受給できるはずだった年金の75%を受給できる資格があります。
また、配偶者と故人の子供の場合、一度きりの死亡一時金(Lump Sum Death Benefit)が$255支給される場合もあります。
もし、遺族年金を受給できる資格を持っており、まだ年金を受給していない場合は遡及して受け取ることができなくなるケースも存在するため、お早めに手続きをお取りすることをおすすめします。
申請手続き
電話で申請
- 電話番号: 1-800-772-1213 (耳の不自由な方は、1-800-325-0778)
窓口で申請
予約は基本的に不要ですが、始めに1-800-772-1213に電話をして、窓口申請手続きのための予約を取ることをおすすめします。
予約日に最寄りのソーシャルセキュリティーオフィスへ行き、必要書類(原本、またはコピー)を提出します。
この書類は後に申請者へ返却されます。
手続きが完了したら、遺族年金が支給されます。
【主な必要書類】
- 故人の死亡を証明するもの(葬儀会社からの手紙や死亡証明書)
- 出生証明書、またはそれに該当する他の証明(日本人の場合、戸籍謄(または抄)本)
- 米国市民の証明、または合法移民である証明(例:パスポート、グリーンカード)
- 昨年のForm W-2またはSelf-Employment Tax Return
- あなたが離婚した元配偶者であれば、離婚を証明するもの(原本)
- あなたが配偶者の場合は結婚証明書(原本)
- 遺族と故人のソーシャルセキュリティーナンバー
- 銀行口座に振込をご希望される方は、銀行の名前と口座番号(Account & Routing Numbers)
詳細はSSA Webサイトでご確認ください。
Disability Benefits(障害年金)
障害年金は、もし事故や病気などで障害を持ってしまった場合に支給され、Social Security Disability Insurance (SSDI) プログラム、またはSupplemental Security Income (SSI) プログラムという2種類のプログラムのもと、運用されています。
いずれかのプログラムが適用されることになりますが、どちらのプログラムでどれくらいの金額が支給されるかは基本的に承認ベースとなっています。
提出する書類もかなり細かくケースバイケースなようなので、まずはSSAに問い合わせてみることをおすすめします。
詳細はSSA Webサイトでご確認ください。
アメリカの年金を日本で受給する場合
日本帰国後の老齢年金、遺族年金、障害年金の申請手続きは米国のSSAに対して行いますが、日本年金機構でも行えます。
日本年金機構が運営する事務所は日本全国にあり、また窓口の担当者には日本語で相談できるのでわかりやすく便利です。
ただ日本年金機構はあくまでも書類を受け付けるだけで、受付後の書類は米国大使館で処理されるため、その後のやりとりは米国大使館と直接行うことになります。
一方、既に年金を受給している人が住所変更や受取金融機関の口座変更手続を行う場合はSSAでもできますが、帰国後に米国大使館でも行うことができます。
大使館の年金課へ変更手続きを希望する旨を伝えると提出書類について説明がありますので、それにしたがって書類を提出します。
企業型年金
次に紹介させていただくのはアメリカの企業型年金です。
企業型年金には大きく分けて2種類あり、雇用主と従業員が互いに積み立てる401(k)と呼称される確定拠出型年金制度(Defined Contribution Plan )と、100%雇用主が積み立てる確定給付型年金制度(Defined Benefit Plan)があります。
401(k): 確定拠出型年金制度
401(k)の正式名称はDefined Contribution Plan(確定拠出型年金制度)ですが、1978年に制定されたInternal Revenue Code (内国歳入法)の401(k)条に規定があることからこのように呼ばれています。
401(k)を提供するか否かは各企業の任意となっており、401(k)が存在しない企業も多くあります。
ただし、アメリカの労働省の1機関であるU.S. Bureau of Labor Statisticsが2020年3月に行った調査によるとアメリカの労働人口のうち約60%が企業型年金である401(k)に加入できる状態であるので、アメリカにおいては幅広く普及している制度だと言えます。
401(k)の仕組み
まず雇用主である企業が自身の従業員のみに提供できるというのが401(k)の特徴の一つです。
転職する場合は、そのまま資金を元の口座に置いておくこともできますし、その企業で働いて貯めた資金を転職先が提供する401(k)の口座に移動させることもできます。
また、次の転職先が401(k)を提供していない場合は、個人型年金であるIRAに移動させることも可能です。
401(k)の口座に入金可能な金額ですが、こちらはIRSによって上限が決められていて、2021年の場合の上限は50歳未満の方は$19,500、50歳以上の方は$26,000($19,500 + $6,500のCatch-up Contribution)となります。
401(k)のメリット
雇用主によるマッチング
401(k)の大きな特徴として、従業員が拠出した金額を、企業がその金額と同等もしくはその一部をマッチして拠出することができます。
この拠出額のマッチを行う、行わないは雇用主の自由となっていますが、 U.S. Bureau of Labor Statisticsの統計によると51%もの企業がマッチを行なっているという結果も出ており、マッチング自体は401(k)を提供している企業の間では一般的なことだと言えます。
2021年の企業が提供できるマッチングの上限は$58,000(50歳以上の人は$64,500)となっており、この上限は従業員が拠出する金額と企業が拠出する金額の合計額にも適用されます。
マッチングは各企業ごとに設定可能ですが、一般的には給与の3%程度が多い傾向にあります。
拠出金の課税繰り延べ
401(k)へ拠出した場合、拠出金に対する課税を繰り延べることができます。
つまり、給与としてそのまま受け取った場合には通常その分に対してその時点で課税されますが、401(k)に拠出した金額に対しては給与の支給時点で課税されず、リタイア後に401(k)から年金を受け取る際に課税されます。
通常、リタイア後は現役時代に比べて所得が減り、累進課税制度下ではリタイア後の方が低い税率が適用されるのでそれまで課税を待ってもらえるのは大きなメリットです。
また、資金を実際に引き出すまでは運用益に掛かるはずの税金も掛かりません。
なお、企業による拠出金は企業の税務申告で損金算入できます。
投資のプロの手による管理
401(k)で拠出した資金は自分で投資先を選ぶこともできますが、自分のリスク許容度や目標金額などに応じて投資先のプロに運用を任せることもできます。
自分に対してローンできる
多くのプランでは、自分の401(k)プランから低利の固定金利で最長5年(60ヶ月)のローンができます。
支払った利息は自分の401(k)口座に戻されるので、他人に利息を払うローンに比べて有利です。
ローンの限度額はトランプ元大統領が発したCARES Actにより現在$100,000となっています。
なお、ローンを支払っている最中に転職したり解雇されたりした場合は、期日中に残高を一括返済しなければならないので注意が必要です。
期日までに返済できないと、残高分は課税所得として捉えられてしまい、さらに10%の罰金も追加で課されます。
401(k)のデメリット
繰延税金口座の弱み
現行の法律では、投資関連の所得にはキャピタルゲイン税率と呼ばれる軽減税率が適用されます。
キャピタルゲインの最大税率は20%なので、一般税率の最大37%の約半分となります。
課税投資口座で資産を運用して毎年税金を支払うと、この軽減税率が適用可能です。
しかし、繰延税金口座を使用していると、引き出し時に全て一般所得とみなされ、最大37%の税率が適用されます。
なお、別記事でも書きましたが、今後キャピタルゲイン税率が増加する可能性もあるので注視が必要です。
ペナルティー
401(k)は59.5歳以上の受け取りを前提とした資産形成プランであり、59.5歳に達する前に資金を引き出した場合、自動的に10%のペナルティーが課されます。
また、早期引き出しを行った場合、早期引き出しを行った金額に対して課税(正確には20%の源泉税+確定申告による精算)が行われます。
なお、当該ペナルティーは一定の条件下で回避することもできます。
投資先が限定される
401(k)は雇用主である企業が指定した証券会社しか利用できず、投資オプションも予めセレクトされた中からしか選べません。
従って、自分の好きな投資先があっても、401(k)を管理している証券会社の投資先オプションに入っていなければ自分の好きな投資先へ投資することができません。
確定給付型年金制度
次に、確定給付型年金制度(Defined Benefit Plan)について紹介します。
401(k)と異なり、確定給付型年金制度は100%雇用主が積み立て運用する制度で、従業員に福利厚生の一環として提供するものです。
確定給付型年金制度の仕組み
確定給付型年金制度がDefined Benefit Planと呼ばれる由縁は、年金の計算方法が雇用主と従業員の両方に明確に知らされていることです。
一般的に確定給付型年金制度における給付額は勤務年数や賃金の一定割合とを乗じた金額などに応じて計算されます。
確定給付型年金制度における給付額は計算式が事前に決まっているので、従業員にとって退職後のプランニングを行うことが他の年金と比較すると容易です。
仮に確定給付型年金制度における資産の雇用主の運用成績が悪かった場合でも、雇用主は予め決められた支給額を法的に埋め合わせる必要があります。
雇用主は、勤続1年以上、年間1500時間以上勤務など、雇用主の定める条件を満たす従業員のみにこのプランを与えることが可能です。
なお、最近では401(k)の採用とともに、確定給付型年金制度を凍結して、新規の年金受給対象者を受け付けない企業が増えてきています。
確定給付型年金制度のメリット
- 他の年金プランと併用できる
- 他の年金プランでは拠出年間上限額があるが、確定給付型年金制度では拠出年間上限額が無い
- 給付額が事前に予測できる
- 給付額が運用成績に依存しない
- 雇用主は税務申告時に控除が取れる
確定給付型年金制度のデメリット
- 雇用主はプランに従って毎年拠出し続けなければならない
- 雇用主は最初に決めた支給額を減額できない。
- 会社の会計が赤字であっても、入金しなければならない。
- 雇用主にとって管理が大変で費用が掛かる
- 年間給付額に上限額がある
個人型年金
最後に紹介させていただくのは個人型年金です。
個人型年金はIRA (Individual Retirement Account)と呼ばれ、退職後の生活資金を蓄えるために節税効果を得ながらお金を運用できる個人で開設が可能な投資口座の一種です。
口座開設は各金融機関ででき、一定額までの入金に対して税金控除を受けられるメリットがあります。
IRAの代表的なプランとして、大きく分けて「Traditional IRA」と「Roth IRA」の2種類があります。
Traditional IRA
Traditional IRAでは、税引き前の所得から、一定額をIRAのアカウントに入金することができ、その分に関しては税金を入金時点で支払う必要がなく、将来リタイア後にその金額を引き出す時まで所得税の繰り延べができます。
例えば、現在収入が$100,000ある方がTraditional IRAを活用する場合、$5,000をIRAに入金すると、課税所得が$95,000になります。
所得税が仮に20%とすると、$5,000の$20%である$1,000が節約できます。
将来、このお金を引き出す際に他の収入が無かった場合、$5,000の所得に対して所得税はほとんどかからないので、$1,000分節税できるということになります。
なお、Traditional IRAは個人型年金なので01(k)のような雇用主による拠出はありません。
給与からの天引きではなく、個人が銀行振込や小切手などで拠出する必要があります。
Traditional IRAからの出金に対しては出金時の税率が適用されます。
拠出最大可能額は2021年では年間で$6,000、50歳以上の場合には$7,000となっています。
通常、拠出は基本的に申告書提出期日である4月15日までに行う必要がありますが、2020年度分については新型コロナウイルスの影響で申告書提出期日が2021年5月17日まで延長したことにより、Traditional IRA拠出の期日も同日まで引き伸ばされました。
Traditional IRAは401(k)と同じく満期である59.5歳に達する前に資金を引き出した場合、自動的に10%のペナルティーが課されます。
また、利点として、IRAは個人で加入する退職口座となりますので、自分の好きな運用会社を選んで資金を運用することが可能です。
一方、自分で管理する必要があるので、商品はもちろん、管理・運用手数料や使い勝手など個人でいろいろと考慮した上で資産運用会社を決定する必要があります。
Roth IRA
続いてRoth IRAについて紹介させていただきます。
Traditional IRAとの大きな違いは、Traditional IRAが税引き前の所得から拠出できるのに対して、Roth IRAは税引き後の金額から拠出することになります。
これだけ聞くと、通常の銀行口座や証券口座と変わらないように思われますが、Roth IRAの良いところは拠出した金額を投資に回し、そこで利子などの運用益が発生する場合に、その運用益に対する課税が発生しないところです。
Roth IRAの年間拠出可能額はTraditional IRAと同じく2021年では年間で$6,000、50歳以上の場合には$7,000となっています。
また、拠出の期限についてもTraditional IRAと同じく通常4月15日までとなっております。
なお、Roth IRAには年収上限があり、未婚の場合には年収$140,000、夫婦で$208,00は利用できないことになってます。
さらに、何と言ってもRoth IRAが優れている点は、拠出した金額については引き出す時点の年齢に関わらず、税金やペナルティーが一切掛からないことです。
これだけでも資産の流動性が上がり、万が一の時にも引き出せる強力な投資口座だと言えるかと思います。
IRA口座はどこで開くべきか
個人型年金であるIRA口座は地銀やクレジットユニオン、証券会社など大抵の金融機関で開くことができます。
選択肢が多いので、口座を開く前に次のポイントを確認しておくことをおすすめします。
- 口座の手数料・取引手数料
- 口座で運用できる投資商品の種類
- 投資アドバイスの有無及びその費用
ちなみに私の場合、他の証券会社に比べ手数料や取引手数料が比較的安く、お気に入りの投資商品を提供しているVanguardを利用しています。
まとめ
今回アメリカの年金制度と節税方法について紹介させていただきましたが如何だったでしょうか?
投資の運用で得られる複利効果は想像以上に大きいので、リタイアに備え、早めに資産管理を進めることをおすすめします!
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